年の初めに

あけましておめでとうございます。
またまた怠けているうちに2005年になってしまいました。
今年もどうぞよろしくお願いします。

スペインでは1月1日は祭日だが、それ以外は通常どおりに社会は動いている。
大晦日の午後は仕事をやめて職場で乾杯したりする場合も良くあるようだが、その後は帰宅して親戚・家族でカウントダウンをするのが一般的だ。そのときに12粒のぶどうを食べて乾杯するのがスペインの慣わしだ。
私の会社も大晦日は午前中だけの営業で、みんなと挨拶をしてお開きとなった。
今年はラッキーなことに2日が日曜日なので実質的に3日から仕事になり、少々お正月気分を味わえた。大晦日に家に帰ってから掃除・おせちつくりにいそしんで、カウントダウンの時間にはテレビで徒歩5分のソル広場の中継を見ながら息子の悠とぶどうを食べた。

悠が梅酒、私はヘレス(シェリー酒)で新年の乾杯もした。と言っても悠は口をつけただけだったけど・
翌日は黒豆、かまぼこに巻かない伊達巻(つまり厚すぎて負けなかったんです)、煮しめにお雑煮で改めて新年を祝った。
今年はいったいどんな年になるのだろう・・

振り返ってみると今までもそうだが、今年はますます忙しくなる予感がする・・・
我ながら怖い予感です。ホント。
で、悠に「今年はもっと忙しくなるような気がする」というと「あ、そう」とあっさり言われてしまった。考えてみれば我が家では忙しがっているのは私だけ、悠はずっとマイペースだ。昨年の9月からは中学に進学したけれど、マイペースぶりは変わらない。

息子の通う中学は今までの学校の本校にあたる。場所はぐっと自宅に近くなったが、下から上がってくる生徒達と外から入学してくる生徒で2クラスになる。日本でいう高校まであるので見ていると一見おじさんのような生徒もいる。

上級生達が入り口の前でタバコを吸ったり、カップルがいちゃいちゃしたりするのもあたりまえの光景だ。はじめは息子もびっくりしていたようだが、2週間もすると慣れたらしく、私が「すごいねぇ」と水を向けても「普通だよ」と答えるようになった。

中学にあがると勉強も大変になるだろうし、進路のことも気になる。しかし、私の語学力では日本にいるときのように情報収集するのは至難の業だ。まして勉強内容などまったくのちんぷんかんぷんだ。スペインの中学では必修科目にフランス語がある、と知ったのも成績表をもらったからだ。成績表といえば、今までは担任と面談した上で頂いていたのだが、中学になったら印刷された本人の成績一覧表が渡され、親は受け取りにサインして子供に渡すだけだ。新学期が始まって始まって2ヶ月もたった頃に、一度だけ父母会があったが「先生と話したい人はここに各教科の担任の名前が書いてあるから事前に連絡してください。」というだけだ。それで心配になって悠に「将来は何をしたいの?」と聞いてみたこともある。悠は「どうしようかねぇ。」というだけではっきりしない。私は情報収集が遅れるから少しでも先に知っておけば・・とおもったのだが仕方がない。役にたたない母としては健康に気をつけてやるだけだ。といっても「よく食べ、よく寝る」手助けをするだけの事だ。この2つは黙っていても悠が得意とすることだから特に助けも要らないだろうけど・・

進路といえば2人で日本のビデオを見ていたときの事だ。日仏のハーフですごいイケメンのマジシャン、セロが奇跡のようなパフォーマンスを披露している。デビット・カッパーフィールドをはじめマジックや不思議なことが大好きな息子は「すごい!!どうやるんだろう。」を連発していた。
ふと思いついて「ねぇ、ああいうマジシャンになったらどう?興味があるんじゃない?」というと「うん。でもそのつもりだったのに気が付いたらマギー司郎になってたりして」というので大笑いしてしまった。
そう、たしかにかっこいいマジシャンよりお笑い系の方が息子らしいかもしれない。

今まで「うちは息子と二人だけだからいつも私がいないと・・」と思っていた。ところが息子はどんどん成長し、それなりに何でもできるようになり、私がすることといえば息子が生きていく上で必要なことを少々助ける程度の事だ。
楽といえば楽だが、ちょっと寂しくもある。

そう思って、時々ちょっかいをだすと息子は「うるさいなぁ」といいながら、仕方なさそうに相手をしてくれる。
そんな時、息子を育てている自分から息子にお世話をされている自分に変わってきたことをつくづく感じる。よる年波には勝てません。