誕生日 
       
      うちの一人息子は1月25日で13歳になった。 
      
      誕生日といえば誕生会。私が小学生の頃は誕生日会が流行っていて、私も自分の誕生会は一大イベントだったのだが、スペインではどうかというと・・・ 
       
      スペインに越してきてすぐの時、やはり日本人のお母さんからスペインでの子供の誕生会のことを聞いた。一人は家に仲の良いスペイン人の友達を数人招待したのだか、子供達が家中をあばれ周り、泥靴で何度も出入りされた上に、せっかく作ったサンドイッチや『日本の味を』と高い材料を使って作ったお稲荷さんを一口かじってポンと捨ててあったりで、散々だったそうだ。 
       
      そのお母さんは「もう家で誕生会なんて絶対しない!なんて行儀が悪いの!」と怒っていたが、それを聞いたもう一人のお母さんは「マックとかバーガー・キングでやれば問題ないのよ。でも、招待すると招待した子の兄弟や親までやって来て、断りもなく勝手にジャンジャン注文されたりするから、頭にくるわね」などと話していた。ちなみにスペインでは誕生日の人はお祝いされるのではなく、まわりに祝ってもらえるように招待する・・と言う考え方が普通だ。 
       
      なぜこんな話をしていたのかというと、息子の誕生日はどうしようかと考えていたからだ。 
      
      いろいろ話をきいてみると、もちろん学校や年齢によって違いはあるらしいが、うちのようにごく一般的な家庭の場合、家に招待する、ファーストフードの店に招待する、お菓子などを学校で配る、というのが普通のようだ。もちろん何もしないうちも多い。 
       
      息子も時々かわいいカードの招待状を持って帰ってくることがある。たいていは自宅やマックでクラス全員を招待する・・というものだ。これはとてももちろん行っても行かなくてもいい。 
      
      マックの場合は予約の確認のためか参加・不参加の返信付だが、自宅の場合は特に何も返事はしないようだ。お誕生日の子に「きてね!」と念をおされたり、友達同士で「行くの?行かないの?」などと話したりするようだ。 
      
      でも、参加する時には何かプレゼントを持っていく・・というのが掟だ。 
       
      今まで招待されたのが女の子だったので、息子はかわいいメモパッドとか文房具を持っていっていたが、日本と同じでスペインも女の子の方の成長が早いらしく「ま、かわいいっ!」と言われていた。前記の日本人のお母さんに聞いてみたら「そうねー、どっちかというとおしゃれ用品、化粧品なんかが欲しい子が多いのよ」という。なるほどね。 
       
      そしてまた、自宅に招待された場合はどんなことをしているのかと息子に聞いてみると、ちょっとしたスナック菓子をつまんでジュースなんかを飲んで踊ったりするらしい。 
      
      まるで大人のパーティーのようだ。息子はそういうパーティーは余り好きではないらしく、ポテトチップなどを食べて好きなことをしているらしい。 
       
      「みんなどうやって踊っているの?」と聞くと「ほとんどピョンピョン跳ねているだけだよ」というのでやっぱり大人にあこがれてまねをしているだけなのかもしれない。 
      
      でも、中学に通っている娘さんのお母さんは「気をつけないと、中にはタバコを吸う子やお酒を飲む子だっているのよ。」と心配そうだ。今のところ、息子の周りではあまりそういう話を聞かないが、だんだん大きくなるとそういう子も増えるのだろう。 
       
      まぁ、今から心配しても仕方ないから私はあんまり気にしていないけど。 
      
      お開きの時間になって迎えに行くとだいたい「とってもおとなしいコね!」といわれるので、やっぱりマイペースなんだろうなぁと、いつも思う。 
      
      だいたい食べるものもポテトチップとケーキくらいなので、息子は帰り道にかならず「おなかすいた〜」などと情けなさそうに言う。 
      
      中には土曜日だけ開校される日本人学校補習校のお友達からのお誘いもある。これは日本で普通にある誕生日会と同じだと思う。たくさんご馳走が出るらしく、帰りに『おなかすいた』ということはない。 
       
      
      さて息子の誕生はといえば、お菓子を配る事にしている。 
      
      色々な種類のあめやチョコレート、ゼリーなど、なるべく日本の物も探して透明の袋に入れる。小さなリボンを結んでクラス全員+先生の分として息子に持たせる。 
      
      去年までは積極的にお菓子選びをしていた息子も、今年は恥ずかしかったらしく「やらなくてもいいよー」と言っていた。 
       
      それでも無理に「ママがしたいの!」といって無理強いしたので、息子はしぶしぶお菓子を持って学校に行った。後で聞くと「みんな喜んでいたよ」というのでとかなりうれしい。いつか機会があったら、日本の駄菓子、ふ菓子やのし梅をスペインの子供にも食べさせてみたいなぁと思っている。それにしても中学生になったら、息子はどんな誕生日をして欲しいと思うのだろうか。楽しみだ。 
       
       
      
      
       
      
      
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