ガスパチョの作り方

今年もスペインは暑そうだ。
昨日のニュースでは暑さのためすでに7人の方が亡くなったらしい。
また暑さで倒れ、入院中の方が9人いるそうだ。

またスペインの中でも暑いことで有名なセビージャでは、この暑いのに停電なり、すべての電源がストップした。原因はフランスから買っている電力の一部が途絶えたためだそうだが、よりにもよって一番、暑い場所が停電にならなくてもよさそうなものだ。

ニュースではケーキ屋さんのケーキが冷蔵庫の中でどろりと溶けた様子を映していたが、一緒に見ていた息子は「ああ、もったいない!」と叫んでいた。
この暑さ対策のためにテレビでは「水分を良く取るように」「日陰で休むように」と注意を促しているが、すでにこれでは先が思いやられる。

この暑いスペインの夏を乗り切るために、今年もガスパチョの季節がやってきたようだ。私達は夏になるとよくガスパチョを飲む。ガスパチョはスペインの夏には欠かせない冷たいスープだ。水分もビタミンも取れるし、のど越しも良く、スーパーに行くとパックに入ったガスパチョも売っているくらい一般的で、日本でいうと味噌汁みたいなものかもしれない。それぞれの家庭や地方の味があるようで、以前の職場にいた賄のイザベルも「ガスパチョだけは私の好みの味付けで作るわ」と言っていた。

私も家で作っていたが、少し前までは作るのを結構めんどうくさく感じていた。
材料の野菜を買い調えて刻んでつぶして・・と一仕事だった上に、何となく味がとがっていてレストランで飲むようなまろやかさが感じられなかったからだ。

しかし、最近はとても気軽に作れるようになった。味も抜群においしくなり、その辺のレストランなら密かに「勝った!」と思うこともあるくらいだ。
今は大体1週に1度から2度つくり、冷蔵庫に入れてあるので食事の時以外でも野菜ジュースの感覚で飲むこともある。

こうやって気軽に作るようになったきっかけは、アナのお母さんに言われた一言だ。
「何も難しく考えなくていいのよ。サラダの残りにパンの残りもいれてテーブルに乗ってる塩、酢、オリーブ油をかけて冷蔵庫にしまって置くだけ。翌日、ミキサーすれば簡単にできるわ」
そう、確かにスペインでは毎日のようにサラダを食べる。テーブルの上には調味料として塩、こしょう、酢とオリーブ油が乗っている。サラダの中味はレタスのほかにトマト、きゅうり、玉ねぎとピーマンが必ず入っている。その上にツナ缶やオリーブの実、アスパラ、人参の千切りがのる事もある。私も簡単なので家ではそういうサラダを作る。

そう考えると私も気軽に作れるようになったわけだ。サラダの材料ににんにくのみじん切りと食べ残しのバケットをちぎって足し、調味料も振りかけて、手でざっと混ぜておく。私は酸っぱいのが好きなので酢と一緒にレモン汁も絞る。エキストラバージンのオリーブ油を使うことも欠かせない。そうそう一番大事なのは完熟トマトを使うことだ。トマトによって味が大きく左右されるのだ。

この後、一日二日は冷蔵庫にしまって置くと味が尖らずまろやかにできる。これを必要な時にミキサーにかけて漉せば出来上がりだ。
私は滑らかな感じが好きなので漉しているが、もしざらざらした野菜の舌ざわりが好きならそのまま漉さなくてもかまわない。むかし住んでいたラ・マンチャで、近所のセニューラは丁寧にすりつぶして漉してはいなかった。漉したカスはもちろん料理に使ってもいいと思うが、私は絞りきってしまうので植木鉢の土に混ぜて肥料にする。
ガスパチョを食べる時には、クルトンや中に入っている野菜の小さく切ったものを薬味にするが、レストランではゆで卵を細かく切ったものを出すところもある。

素焼きのどんぶり鉢のような器で食べるとスペイン風だが、最近はその辺のレストランでもあまり見かけない。私は素朴な感じのどんぶりやスープカップ、マグカップを利用している。目でも涼しさを味わいたかったら氷を浮かべてもいいだろう。暑い夏の食事の始めにガスパチョを飲むと次の皿もスムーズにおなかに入っていくような気がするから不思議だ。

今年の日本の夏は暑いでしょうか?
夏バテ防止にガスパチョをお試しください。

ガスパチョの作り方
・ 完熟トマト 1kg〜1.5kg
・ きゅうり   1本
・ 玉ねぎ   半分
・ ピーマン  1個
・ バケットパン 1/4本
・ にんにく   1かけ
エキストラバージンオリーブ油、塩、酢(スペインではワインビネガーやりんご酢を浸かっていますが、穀物酢などでも大丈夫) 各適量

材料を小さめにざくざく切ってボールに入れる。上からオリーブ油、塩、酢を適量かけて混ぜておく。私はこれにレモン汁とパプリカを少々振り入れるけどお好みで。後はラップをして冷蔵庫に入れ、一晩以上寝かせてからミキサーにかけ、漉したら出来上がり。
良く冷えたガスパチョをどうぞ!