気がついたらなんと10月になっていた。

6月の半ばから息子の夏休みが始まり、「暑い、暑い」と言っているうちに9月の半ばになり息子は学校に通いだした。私も9月から新しく仕事をすることになった。

スペインには、ほとんど秋という季節が無いので、今は短い秋というより冬の入り口といった気候だ。日中は半そでで過せる日もあるが、朝晩は冷える。
セーターやコートは必須だし、しまっておいた毛布もだしてベットにかけてる。

ところでスペインの学校は9月が新学期なので、息子は普通なら進級することになる。

が、今年はもう1度「繰り返し」となったのでまだ4年生だ。

息子の場合、日常的な会話は問題が無いが、学校の勉強となるとまた話は別だ。算数はともかく理科や社会、歴史に関してはまだまだ勉強が必要だ。
息子のクラスには同じように繰り返しの生徒が3人ほどいる。もちろんスペイン人も含まれている。日本と違ってその学年をやり直すことは珍しくないし、何らのハンデもない。

実は昨年の中頃に、息子の担任から「このままだと彼の成績は非常に低い。それよりやり直して来年はいい成績を取った方がいいのではないか」と打診が来ていたのだ。
私は日本で言う落第とかダブリと言う言葉が目の前にちらついて心の中は戸惑っていた。スペインのシステムや考え方をまったく知らなかったからだ。

それで家庭教師の先生やスペイン人の友人達に相談してみた。
すると全員が「よかったねー!これでゆっくり勉強できるじゃない」と喜んでくれた。最近はそういう手間のかかる事はしたがらない先生も多く、ところてん式にどんどん進ませてしまい、生徒の事はあまり考えてくれない学校も多いそうだ。また進級はさせないからどっか他の学校に移ったら?といわれる場合もあるそうだ。

でも息子のことを考えたらわからないままにしておくより、きちんと理解して先に進んだ方がいいに決まっている。そんな時、息子の補修クラスの先生と話す機会があった。
彼女は外国人の語学習得の専門家で息子の学校の専属ではない。幾つかの学校を回っているらしく、息子の学校にくるのも週に2時間だけだ。

そのイネスは「彼はとっても頭がいいわ。このまま悪い成績で進級したらかわいそうよ。」と親ばかの心を突くような事を言ってくれる。
私は息子に話してみた。

「来年ももう1度、4年生をできるらしいんだけど、どうする?」息子はなんのくったくもなく「うん。もう一回やる!」と答えた。

学校によるのかもしれないが、この場合「進級させてくれ」と望むこともできるらしい。

学校のほうも決定事項ではなく、あくまで相談ということで時間をかけて親と話し合ってくれる。息子は早くに来年の方針が決まったので、その分残った学期で学習内容を変更してもらう事ができた。ともかく問題の無い算数を先に終わらせ、少しでも必要なスペイン語の習得に力を入れる。算数に関しては日本の方が進んでいるので応用問題以外はほとんど困らないのだ。ただ、応用問題は問題を理解しなくてはならないので、やはり国語の理解力が必要になるわけだ。

新学期になって息子はだいぶ新しいクラスにも慣れたようだ。
このまえ去年と同じ担任のフエンにあったら「彼はほとんど4年生のレベルで勉強できるようになったわよ」といってくれた。

息子は相変わらず元気に学校に通っている。