ひのき舞台ものぐさつづり帖

その3
プロの仕事って?
6月11日のひとりごとに、お能がらみの話を書きました。
興味のある人は、ここから、飛んでいってね。
弁慶
お謡いのお稽古1年生の私は、「橋弁慶」という曲を習っている。
これは有名な京の五条の橋の上で、弁慶が牛若丸と出会うお話だ。

先日のお稽古では、女のなりをした牛若丸が、弁慶をからかうように、
弁慶のなぎなたを蹴っ飛ばすところだった。このとき、驚いた弁慶が、
「すわっ!!な、なにやつじゃ!!」
と、大声で叫ぶシーンがあるのだけど、どうもここが、
とっても元気よくできたらしい。
(こういうドラマチックな話は、大好きなんだよね。もともと、声は大きいし…) 

先生から、
「さすが…あ、いやその……今まで教えた初心者生徒の中で、
一番立派な弁慶でしたよ!」と、お褒めの言葉に預かった。
それはとても嬉しかったのだけど、その後、先生は、
「お仕舞でも、弁慶をやりたいでしょ。
でも、弁慶の仕舞はなぎなたを使うので、もうちょっと
上級になってからですね。弁慶の前に、巴御前、知盛などをやって……。
でも、その前に、男物を力強く舞えるように練習しなければいけませんね」

といいながら、ニコニコ、またしても、勇ましい演目をたくさん勧めてくださる…。
勇ましい演目は楽しくて大好きなんだけど、ますます、女じゃなくなりそう……。

……という話をフラメンコ仲間にしたら、仲間の一人が
「でもさ、弁慶って、純ちゃんにピッタリだね。強いけど、よい人ってとこがさ」
 と、言い出したんで、みんなで大ウケ。
さらに、たまたまその日できあがった、雑誌掲載用の写真を見ていて、
別の友人が、
 「うーん、純ちゃんって写真になると、とたんに癒し系の顔になるのにね。
一応、写真の顔は「癒し系」で共通してるんだけど、でも、実物とちょっと違うよね」
と、言い出し、さらに大大大爆笑。
 「ふん、どうせ、本物の私は弁慶に、天狗に、九尾の狐だい!」
 といって、ちょっとばかり、すねていたのでした。